ゲノム動態研究部門
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 電離放射線は生物の遺伝情報が収納されるゲノムDNAに損傷を誘発するが、細胞はDNA損傷が発生すると適切に応答し、損傷DNAを修復してゲノム情報を安定に維持している。これらの機構は環境中の紫外線、活性酸素、化学物質など様々なゲノムストレスによる細胞応答経路とも共通性が見られることから、私たちの研究室では放射線をはじめ、様々なゲノムストレスに対抗するための、高等真核生物がもつゲノム安定性維持機構・発癌防御機構の解明を目的とし、放射線高感受性遺伝病及びその責任遺伝子(NBS1, MRE11, ATM)に着目し、下記の主要テーマで研究を行ってきている。
【主要研究テーマ】
1.放射線高感受性遺伝病原因遺伝子の機能の解明
 放射線高感受性遺伝病の一つ、MRE11ヌクレアーゼを欠損したATLD病に着目して、従来知られる放射線誘発DNA損傷応答への役割だけでなく、複製ストレスにおける役割、ウイルス・細菌DNAの細胞質侵入の検知センサーとしての機能を報告してきており、酸化ストレス応答における役割も含め、MRE11の多様な機能についての解析を行っている。また、ATLD病と類似した他の放射線高感受性遺伝病についても解析を行っている。
2.低線量(率)放射線の生物影響の解明
 放射線はゲノムDNAにDNA損傷を誘発するとともに、細胞内の活性酸素種(ROS)増加を誘引する。低線量(率)放射線ではDNA損傷よりもROSの影響が高いと考えられ、ROSを通した低線量放射線生体影響について解析している。
3.DNA修復能と霊長類の遺伝的多様性との関係の解明
 放射線・ゲノムストレスに対抗するDNA修復能は遺伝子異常・発がんを防ぐ上で重要であるが、その活性が高すぎるのは進化における遺伝的多様性を生み出す上で不利であり、それらの相互関をを霊長類細胞を対象に解析している。
4.DNA損傷応答・ゲノム安定化機構におけるNBS1の役割の解明
5.DNA二重鎖切断修復の選択機構の解明
*下記の大学院人間・環境学研究科相関環境学専攻の教員紹介ページもご覧下さい。
http://www.h.kyoto-u.ac.jp/staff/322_kobayashi_j_0_j.html
*また、下記アドレスの京大OPEN COURSEWAREで一般向けセミナーで小林の研究を紹介したビデオを見ることができます。
http://ocw.kyoto-u.ac.jp/ja/opencourse/31/20141205-2

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