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hamada

■氏  名:

浜田 信行(はまだ のぶゆき)

■所属機関:

電力中央研究所 原子力技術研究所 放射線安全研究センター

■職  位:

主任研究員

■略  歴

長崎大学大学院薬学研究科にて博士号取得(平成16年3月)
博士後期課程在学中に、英国グレイがん研究所に半年間留学
放射線医学総合研究所と東北大学での博士研究員、群馬大学でのCOE准教授等を経て
平成22年4月より現職。36歳(2012年10月現在)

■この事業での主な担当分野:

第三分野(個体応答研究)

■研究のキーワード:

放射線応答細胞の運命、発がん、白内障

■研究室URL:

http://criepi.denken.or.jp/jp/ldrc/index.html

■個人HP,URL:

http://researchmap.jp/read0140945/

■コメント

放射線を被ばくするとがんが誘発されることは、ヒトでの疫学研究や、ほ乳類由来培養細胞や実験動物での生物学研究の知見から明らかです。 しかし、そのような放射線発がんの機構には、わからないことがたくさんあります。例えば、放射線が照射された細胞が、がんになるという直接的な証拠はありません。 放射線を被ばくした細胞が、細胞死や入れ替わりによって、組織内に残らなければ、細胞はがん化しないはずです。 また、近年の生物学研究から、放射線発がんには、被ばく細胞自身の応答だけではなく、被ばく細胞をとりまく周囲の環境との相互作用が重要な役割を果たすことが示唆されています。 そこで、私の研究チームでは、放射線応答細胞とその子孫細胞を個体組織内で可視化することによって、放射線応答細胞の運命を追跡して、放射線発がんの起源となる細胞を明らかにするために、新たなマウスモデルの作成に取り組んでいます。
私たちのもうひとつの研究テーマは、眼の水晶体の細胞の放射線応答解析です。正常な水晶体は、カメラでいうレンズの役割を果たしている透明な組織ですが、年齢を重ねると濁って白内障になります。 放射線を被ばくすると白内障が誘発されることは、ヒトでは1949年から知られており、そのような放射線白内障の発症を防ぐために、水晶体への線量限度が半世紀前から決められています。 近年の疫学的知見を根拠として、放射線防護体系の枠組みを勧告する国際放射線防護委員会(ICRP)は、2011年に線量限度を大幅に下げたところですが、放射線白内障の生物機構は未解明であり、十分な生物学的な裏付けがありません。 そこで、ヒト由来水晶体細胞の放射線応答の解析に取り組んでいます。
ヒトを含むすべての生物は、常に放射線に被ばくしています。放射線生物学は、放射線を被ばくすると生物がどのような応答をするかを明らかにするだけの学問と思われがちですが、実は、根本的な生命現象とその機構を明らかにする大切な学術分野です。私たちは、活気にあふれた若い皆様が、本事業をきっかけとして放射線生物学に強い関心をもち、この分野を一緒に盛り上げていただく一員になっていたくことを期待しています。それでは、皆様の積極的なご参加をお待ちしています。

■インターンシップについて

受け入れ可。マウスの組織から採取した細胞の遺伝子やタンパク質の解析法を、星裕子主任研究員藤通有希研究員とともに指導いたします。研究室は、小田急線沿いの東京都狛江市にあり、所要時間は新宿駅から約30分です。アクセスは、http://criepi.denken.or.jp/intro/access/komae.htmlをご覧ください。