■氏 名:
鈴木 啓司(すずき けいじ)
■所属機関:
長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科 放射線医療科学専攻 原爆後障害医療研究施設
■職 位:
准教授
■略 歴
金沢大学にて学術博士号取得(1991年)
1987年より横浜市立大学助手
1995年より長崎大学に所属
この間、米国コロンビア大学放射線研究センターに客員研究員として2年間在籍
2004年より現専攻で助教授
2007年より、現所属で准教授
■この事業での主な担当分野:
第二分野(疫学とガン治療)および第四分野(分子応答研究)
■研究のキーワード:
DNA損傷、クロマチン、染色体、チェックポイント、放射線細胞死、放射線発がん
■研究室URL:
http:// http://www.med.nagasaki-u.ac.jp/adi-
■コメント
長崎は原爆被爆者の後障害研究の中心であるとともに、被ばく医療学に根ざした放射線基礎生命科学のメッカでもあります。 放射線は、医療科学の分野で急速にその活躍の場を増加させていますが、生命に及ぼす影響は、被ばくの瞬間から生涯までを俯瞰的に見渡す必要があります。 この問題は、福島での原発事故にともなう低線量放射線の長期被ばくに直面して、さらにその重要性を高めています。 放射線エネルギーが賦与されてできるDNA損傷、それがクロマチンや染色体に及ぼす影響、細胞の持つ巧妙な分子応答、その結果としての二律背反的細胞死とがん化の誘導。 全てが偶然のように見える必然でできた分子の因果応報の世界の中を、自由奔放に歩み回ってみませんか。
研究は、細胞を基本とします。特に正常ヒト細胞にその対象を特化しており、幹細胞を含む様々な臓器や組織を構成する細胞を扱います。 放射線のエネルギー賦与により起きた電離が、DNAのバックボーンを形作っているフォスフォジエステル結合を切り、それが、大規模なクロマチン高じ構造変化を生む。 そのことで、ATMを中心にした蛋白質リン酸化カスケードが賦活化し、リン酸化、ユビキチン化、メチル化が入り乱れる多彩な蛋白質修飾により、DNA損傷情報が増幅される。 その結果、一部のアポトーシスを特異的に誘導する細胞を除いた大半の細胞では、老化プログラムが発動し、それが、さらに分泌因子を介した細胞応答を惹起する。このいずれものプロセスが研究対象です。
集中講義やインターンシップを通して、徹底的な議論のもと、是非、皆さんの内なる魂に響くような感動の瞬間を経験して欲しいと思っています。
■インターンシップについて
常時受入れ可。蛍光分子タグとライブイメージング技術を駆使した細胞周期や細胞死の解析、DNA損傷応答の蛍光顕微解析、放射線発がん実験などを中心に希望に応じた実習を実施可能。